
スーパーバイク世界選手権シリーズもシリーズ終盤。前戦ドイツの第2レースで、ポイントランキングトップだった芳賀紀行にTen Kate HONDAのジョナサン・レイが接触して転倒。レイは優勝、芳賀はリタイヤする事になって、結果、死守してきたランキングトップの座を、YAMAHAのベン・スピースに譲り渡してしまった。
今シーズンのスピースの強さから考えて、ちょっと絶望的な気分で観始めた第13戦イタリアラウンドの映像内に突然マルコ・シモンチェリの姿が。ハンガリーGPキャンセルに伴うブレーク期間中にApriliaが今回のSBK参加をお膳立てしてくれたんだろうけど、何も情報が無かったのでちょっと吃驚。そして決勝の走りにはもっと吃驚させられた。
予選4位の芳賀選手の真後ろ、2列目となる予選8位を確保したものの、スタートで出遅れた第1レース。マックス・ビアッジが終盤までトップを死守し、DUCATIワークスの2台がそれを追い掛ける展開に、シモンチェリの走りはなかなか映像に出てこなかったものの、映像が切り替わった瞬間、今期好調のレオン・ハスラムを、最終シケイン進入のブレーキングで鮮やかにパス。まるで周回遅れを抜き去るかの様なスピード差にはシビれた。残念ながら、その後のコーナーでスリップダウンして、第1レースはリタイヤしてしまったけど、SBKの猛者達にGPライディングの片鱗を見せ付けて第2レースへ。

そして第2レース。まずまずのスタートで予選順位をほぼ維持した9番手に付け、1週目終わりの最終シケインで又もレオン・ハスラムを簡単にパス。トップのDUCATIワークス2台は極端に速くて逃がしてしまったものの、今大会は不調だったとは言え、今期手の付けられない速さを見せているベン・スピースも、3位を走行していたチームメイトのマックス・ビアッジも抜き去って、初出場ながら3位表彰台を獲得してしまった。
走り方を見ると250ccと同じ操作をしている様に見えるし、リヤが横に出る事が無かったから、RSV4のバックトルクは相当殺してありそう。SBKライダーの走り方はジョナサン・レイを筆頭に、バックトルクを利用してリヤを振り出しつつワイドラインでコーナーへ進入、そのままバックトルクを利用して旋回してから再加速するもの。対して今回のシモンチェリは、マシンを起こしたまま直線的に鋭く減速してコンパクトに旋回、マシンを起こしながら加速するというGPライディングそのまま。フロントタイヤの使い方がSBKライダーと全然違うし、加速開始のタイミングが早いから、マシン性能以上にトップスピードが伸びていた。走行ラインも余さず正確。加えて、身体の大きさを活かした積極的な荷重コントロールでタイヤを路面に押し付ける乗り方は往年のミック・ドゥーハンを彷彿とさせて、終始感心しながら、ニヤニヤしながら見入ってしまった。
今回のシモンチェリの走りを見て、誰よりもショックを受けたのは、ジェームス・トスランドとトレードする形で2010年のTECH3入りが決まったベン・スピースじゃないかと思う。もしかして井の中の蛙じゃないかと疑心暗鬼になると、残りのレースで芳賀紀行を再逆転する事も難しくなりそう。
それにしても今回のシモンチェリの速さには驚いた。もしかしたら、来シーズンの活躍はデ・アンジェリス程度に留まるかもと思う気持ちがあったけど、これはひょっとしたらひょっとするかもしれない。MotoGP4強の走りはもっと遥かに洗練されているけど、逆に今回のシモンチェリの様な走りは出来ないから、だからひょっとしたら、まだ22歳のこのライダーは大化けするかも。

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